幕間9


「ねえすずろん…」

 

「………うん」

 

「これ、完全にさ…」

 

「………あれだねぇ」

 

 

 

 

「「桜ちゃんに何かあったよね?」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私達はモニターを眺めながら溜息を吐く。

 

 

 

実は死者避けの御守りには、発信機が入ってて。

皆帰って来たのに桜ちゃんだけまだだから、心配になってモニターで位置を確認した訳。

 

 

そしたら案の定、桜ちゃんは巡回ルートを大きく無視した進路を現在も移動中なのさね。

 

 

つまり、何かあったとしか思えない。

 

 

 

 

 

 

 

 

「真面目な桜ちゃんがルート無視して爆走するなんて、相当だよね」

 

 

ふざけた言い方と裏腹に、すずろんの顔は真剣そのものだった。

何があっても大抵は絶やさないヘラヘラした笑顔が、今回ばかりは封印されてた。

 

 

 

そりゃそうだよ、心配に決まってる。

 

だって桜ちゃんは私達の大事な親友だもん。

 

 

 

 

 

でも。

 

 

 

それを知ってても私は言う。

 

 

 

「桜ちゃんの所に行って来るから、すずろんは待ってて」

 

 

 

そしたら、すずろんは。

 

「僕も行く…………って言いたい所だけど、了解。足手纏いになるもんね」

 

思った通り、あっさりと身を引いた。

 

 

 

本当は今すぐにでも行きたい癖に。

 

 

 

「すずろんの物分かり良い所好き〜」

 

「そりゃどうも~」

 

 

 

 

 

 

 

モニターから視線を外し、運転席から立ち上がり、私は出口へ向かう。

 

 

「皆にはこの事言っちゃ駄目だからね」

 

確認するまでも無いけど一応訊ねてみたら。

 

「わざわざ心配と騒ぎを起こす必要は無いからでしょ?

 …余りに時間掛かると言い訳がキツくなるし、迅速に戻って来るようにお願いしますよー」

 

 

うん、やっぱり分かってた。

 

 

「あいあいさ!ここはルピナスさんに任せといてっ」

 

 

 

…よし。

 

 

 

頑張ってきますか!