「桜ちゃーん。ルピナスー。自分の部屋戻って寝なよ~」
ゲームコントローラー片手に爆睡中のルピナスと、
彼女のお腹を枕にして寝てる桜ちゃんの肩を揺すりながら、僕は呼び掛ける。
…でも、二人共無反応だった。
困ったなあ。
いくら友達とはいえ、年頃の女の子と年頃の(見た目の)神様と同じ部屋で寝る訳にはいかない。
悩んだ結果、僕は桜ちゃんに毛布を掛けて部屋を後にした。
ルピナスは神様だし、風邪引かないでしょと思って。
今の時刻は……………深夜三時、かあ…。
成程、僕の他に出歩いてる人が居ない訳だ。
個別部屋の並ぶ廊下を抜けて、ホールに出て…設置されている時計を見ながら苦笑する。
廊下に設置されている電灯の微かな明かりを頼りに、特に宛ても無く歩く。
店の中は真っ暗。
ルピナス曰く、節電大事!
エコなのは良いと思うけど、今の僕みたいな状況の人的にはマイナスだよねえ…………
……超怖い。
消灯済みの店と店の間を歩き続けて、数分後。
開いてるだろうしネカフェにでも行くかなーと思っていた時だった。
僕は足を止める。
見覚えのあるシルエットが、少し離れた先に見えたから。
「もう、二度と会えないと思ってたのに」
思わずそう零すと、彼女は距離はそのままで言った。
声量はそんなに無かったのに、辺りがシンと静まり返っているからか、よく聞こえた。
「もしそうなら、どれだけ良かったでしょうね」