十一片目:be misunderstood


 

 

 

 

 

 

 

 

 

いつの間にか寝てしまっていたらしく、目を覚ます。

 

 

丁度朝日が昇って来ている所だった。

 

 

 

 

 

…………わー、今日はいい天気になりそ……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…ああ"ーーーー!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

未だ俺の胴体をホールドしながらスピスピ寝ているヴォルクの肩を、慌てて揺する。

 

 

「起きて朝!!めっちゃ朝!!やばいよ語達に何も言ってないのに朝になっちゃったよやばいよ!!早く戻らないと!!」

 

 

「………んー…」

 

 

 

あっこの人寝起き悪いタイプだ…間違いない…。

 

 

と、とりあえずヴォルク引っぺがして単身車に戻って事情説明するしかないよな。

 

 

 

……そうと決まれば!

 

 

 

 

 

 

と、意気込んだその時。

 

 

 

 

 

「あ、此処にいらっしゃったのですね」

 

「おおっ本当かしら!良かったわ〜無事で!」

 

 

 

 

イリーナとリヴが、扉の向こうからひょっこり顔を覗かせた。

 

 

かと思えば。

 

 

呆れ顔の語と、ホッとした様に微笑むアリアさんまで居た。

 

 

 

つまり、皆揃った訳だ。

 

 

 

俺はすかさず土下座を………あーーーーーー腹にヴォルク装備してるせいで土下座出来ないーーーー!!

 

…仕方なく頭だけ下げて謝罪する。

 

 

「ご迷惑お掛けして、大変申し訳ございませんでした…」

 

 

「全くですな。本当びっくりしましたからな。一言言ってからにしろって話ですな」

 

「そこを何とかお許し頂けませんかちんちくりん陛下…」

 

「許さぬ」

 

「あわわ…」

 

「まあ言いにくいのは分かるけどね」

 

「え?」

 

 

「だって誰にも言わずに二人でこんな所来たって事は、付き合ってるんでしょ???」

 

 

 

 

 

……………………?

 

 

 

 

 

 

…………付き合う………って

 

 

 

 

 

え、あ……………

 

 

 

 

ええええええええええぇぇ?!?!

 

 

 

 

 

 

 

 

「誤解です陛下!!」

 

「はははしらばっくれてんじゃねえよ付き合ってんだるぉ???」

 

「本当に違うんですって!!!!」

 

「我々の前でも堂々たるイチャつきっぷり……ふーははは!

 いやはやいつの間にそんな仲になったのやら!」

 

「いやあのこんな格好だし説得力皆無だろうけどまじで信じてお願いだから…お願い…

 あと見ないで…」

 

「ちくしょうこんな事になるならさっさと告白しとけば良かったでも男とくっつくって事は男が趣味だったんだよねフラれるの確定じゃんっていうか初見で相手がホモとか分かる訳ないんだけど今から男になったら間に合うかな無理かな結婚してないんだしまだセーフですよねいやいや横槍入れるとか最低過ぎるマジ無理ほんと無理完全敗北だわ塵になりてえ」

 

 

駄目だ、聞いてない。

 

とりま語は置いといて他の方に弁明を……

 

 

「いっやー!はかせを選ぶとはサクラもお目が高いかしら!

 はかせは普段あんなでもとってもとっても可愛い人だからね!ふふふ!

 …あ!結婚はどうする!?世界が終わる前にはしておきたいわね!

 それが終わったらサクラお兄ちゃんって呼んでもいーいっ?」

 

 

めっちゃ喜んでるぅぁあ"ーーーー!!!!

 

 

「お兄ちゃんって響き凄く良いけどでも待ってリヴさん待って家族になる以前にそもそも付き合ってすr「も、もう!リヴってば気が早いですよ…!」イリーナさぁん!!」

 

遮らないでイリーナさぁん!!!

 

心の中で絶叫していると、イリーナは俺に向き直ってもじもじしながら

 

「あのっ、サクラさん…はかせに沢山の幸せを下さって有難うございます…!

 …私は所詮彼の手によって作られたロボットですので、家族として接する他なくて…

 彼に友情や恋愛を味あわせてあげられないのが、とても気にかかっていたのです。

 初めてのご友人に留まらず初めての想い人にまでなられるだなんて、

 なんという運命でしょうか…!貴方になら、はかせを安心してお任せ出来ます…!

 ど、どうか彼を、宜しくお願い致しますっ!!」

 

これでもかと気持ちの篭ったお言葉を無垢な瞳を向けつつ放って下さいましたーーー!!!

 

 

酷い!!!

こんなの実は違うんですよ〜なんて言えねえよ!!!

いや言わなきゃいけないのは分かってるけど良心が罪悪感に潰されるビジョンが安易に想像つくわどうすれば良いんじゃ!!!!

 

 

…助けてアリアさん!!

 

 

「うふふ、お幸せに!

 あたし達に残された時間は少ないし、

 極力二人で居られるように皆で配慮するから、安心してね♡」

 

 

助けてくれなかったアリアさーーーーーん!!!

 

本当に付き合ってたとしたらめっちゃ気の利く名采配なんだけどそうじゃないからとてもありがた迷惑ーーーー!!!!!

 

 

 

えーっとサクラ。とりま、今後の探索はヴォルクと二人で宜しく頼んだ。

 あたいとアリアは二階、リヴとイリーナは三階を探すから、四階をお願いねー」

 

 

便秘が終わって快便になりましたみたいな何やら清々しい表情でそう言った後、

語はアリアさんと共にこの場を去っていった。

 

リヴとイリーナも、ウキウキルンルン体を弾ませながら後に続く。

 

 

 

………残されたのは、俺とヴォルクだけだ。

 

 

 

 

 

……………………。

 

 

 

 

 

…どうして、こうなったし?

 

 

 

 

「あぁぁぁぁ………」

 

 

 

意図せず呻き声が漏れる。

 

 

言い訳しても多分あのノリだとはいはい照れ隠しですねみたいな反応されるし…。

 

 

 

 

 

 

 

 

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…………………なんか、疲れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あんな騒ぎの中心に居ながらもスヤスヤ寝続けてたヴォルクの様子を伺う。

 

 

 

どうやらまだ夢の中らしい。

 

 

 

 

「幸せそうな顔しよって…」

 

 

 

 

あーあ、人の気も知らずに羨ましいこった…。

 

とりあえずヴォルクが起きたら、今後どうするか相談しよ…。